平成30年9月7日(金)8日(土)9日(日)の3日間、福井県アオッサ・ハピリンにて第73回日本体力医学会大会〜しあわせ元気な福井でつむぐ体力医学~QOL維持・向上の運動効果~開催されました。
共同発表
「軽度高気圧酸素が皮膚表面温度に及ぼす影響」
京都大学名誉教授・京都産業大学・中京大学客員教授・森谷敏夫、京都大学大学院人間・環境学研究科教授・石原昭彦/高田遥香/竹村藍、九州医療スポーツ専門学校理事長・水嶋章陽、日本気圧バルク工業株式会社・代表取締役社長 天野英紀/藤澤秋子
軽度高気圧酸素ルームを使用した軽度高気圧酸素への滞在が皮膚表面温度に及ぼす影響を検討した。
気圧と酸素濃度
気圧については、軽度高気圧酸素ルームの稼働後に上昇して、20分以降は一定の値を維持した (A)。酸素濃度についても増大が認められるが、終了時まで連続的に増大した (B)。
安静時脈拍数・酸素飽和度
時間経過に伴って安静時脈拍数の減少が認められた (ANOVA、A)。一方、時間経過に伴って血中酸素飽和度の増加が認められた (ANOVA、B)。 10名の平均±標準偏差で示してある。
皮膚表面温度
軽度高気圧酸素の環境に滞在前 (a)、滞在10 分後 (b)、20分後 (c)、30分後 (d)、40分後 (e)、 50分後 (f) の手のひらのサーモグラフ。各パネルの左上の数値は、中指(付け根)の部分(〇印)の表面温度 (左図)。
時間経過に伴う中指 (付け根) の表面温度の変 化 (右図)。軽度高気圧酸素への滞在40分以降 に表面温度が高値を示した (*p<0.05、滞在前と 比較して)。
軽度高気圧酸素への滞在によって、皮膚表面 温度が上昇することが分かった。これは、末梢での血流速度や血管径の増大によって血流が 増えたことによるものと考えられる。皮膚表面温度の上昇には、個人差が認められ た。冷え性などで手先の温度が低い被験者では、軽度高気圧酸素の影響を大きく受けて、皮膚表面温度の上昇率が高い結果を示した。