静岡県島田市に新設された**「日本気圧バルク工業アスリートセンター兼神戸大学スポーツ健康サイエンスラボ」**について、高橋尚子さんと藤野英己教授が語った対談内容の要約です。
静岡県島田市に新設された**「日本気圧バルク工業アスリートセンター兼神戸大学スポーツ健康サイエンスラボ」**について、高橋尚子さんと藤野英己教授が語った対談内容の要約です。
1. 「トレーニングの見える化」を実現する最新拠点
本施設は、マラソンの聖地・大井川「リバティ」コース沿いに位置し、宿泊・練習・研究を一体化させた全国でも類を見ない施設です。 最大の特徴は、**「トレーニング効果の見える化」**です。研究機関のみで使用されるシスメックス社の測定システムを導入し、血液状態(ヘモグロビン値や赤血球数)をわずか10分で測定可能。感覚に頼りがちな練習効果を科学的に即座に確認できるため、選手のモチベーション向上と効率的な強化に直結します。
2. 低圧低酸素ルームによる「高地シミュレーション」
国内最大級の低圧低酸素ルーム(標高3000mまで設定可能)を完備。高橋尚子さんが現役時代に経験した海外への長時間移動や時差、高額なコストといった「高地トレーニングの壁」を、国内にいながら解消できます。
メリットの最大化: 高地順化(赤血球増加・毛細血管の発達)を低圧ルームで行い、質の高いスピード練習は屋外の平地(リバティコース)で行うという使い分けが、移動なしで可能です。
デメリットの解消: 帰国による効果減退の心配がなく、大会直前まで低酸素環境での刺激を維持できます。
3. 健康寿命の延伸と医学的アプローチ
藤野教授は、酸素を「薬にも毒にもなる」と定義し、適切な低酸素環境が細胞内の「低酸素誘導因子(HIF)」を活性化させ、血管再生や寿命延伸に寄与する可能性を解説しました。
一般・高齢者への応用: 加齢や運動不足で減少(ゴースト化)する毛細血管を低酸素刺激で維持・増加させることで、冷え性の改善や持久力低下の防止に役立ちます。
遺伝子研究の展望: 将来的には、高地トレーニングの向き・不向きを遺伝子レベルで分析できる設備の導入も検討されており、個々に最適化されたトレーニングの提供を目指しています。
4. 栄養面からのサポート:持久力強化の「アスリート食」
施設では食事による内面からの強化も提案しています。
ヘモグロビンの材料: 鉄分、たんぱく質、ビタミンCを組み合わせたメニュー。
血管強化: 毛細血管を活性化する成分(シナモン等)や、抗酸化食材の積極的な摂取。 「トレーニング・リカバリー・栄養」を科学的に統合した本センターは、トップアスリートから健康志向の市民までを支える、日本のスポーツ科学の新たな象徴といえます。

